戦国時代に名を馳せた真田氏、そして戦国時代に忍者として活躍した甲賀望月氏、実は、多くの共通点があります。君主豊臣氏のために、江戸幕府の徳川家康と戦い、大阪夏の陣で活躍した真田幸村、君主六角氏のために、室町幕府の足利義尚と戦い、鈎の陣で活躍した望月出雲守、ともに当時天下を治めていた主流勢力である幕府側が、彼らの巧みな戦略戦術により、劣勢を余儀なくされました。その後、真田氏の英雄伝説は、「真田十勇士」として、甲賀望月氏は、「甲賀三郎伝説」、各種忍者読本として、多くの人々に語り継がれていきます。
実は、真田氏も甲賀望月氏も先祖をたどると、同じ信州長野の名族・滋野氏(後に望月・海野・根津に分流)になります。滋野氏は、元来、星の神を奉じ、犬飼・馬飼・鷹飼に通じる呪術集団から誕生した武芸の家です。つまり、真田氏の真田丸に代表される巧妙な戦略戦術の源流と、甲賀望月氏の甲賀流忍術の源流は、同じ起源なのです。非常に興味深いところです。
尚、望月三郎、望月出雲守に代表される甲賀望月氏旧邸が「甲賀流忍術屋敷」として、現在公開しています。これまで時代劇などで見て抱いていた、どこか人間離れした忍者のイメージも、きっと大きく変わるはずです。「甲賀流忍術屋敷」で、戦国時代に活躍した本当の忍者の姿を、体感し、歴史の深さに思いを馳せていただければいかがでしょうか。