忍術と忍者の発生
忍術と忍者の発生
忍術はお金儲けのためでも、名声を高めるためでもなく、また、忍器は人に自慢するために作ったものでもない。ただ戦禍を最小限にとどめ、外敵からの自衛のために編み出された戦術である。記録の一部を見てみると、「忍術とは国家を安平にして、大悪党をなくす術なり」といい、また、「音もなく嗅もなく智性もなく勇名もなし、其の巧天地造化の如し」「この道私利私欲を用いるときは、大なるは国を亡し、小なるは家を亡す」と戒めている。顔も売れ、名も知れ渡った者は忍者としての価値はないのである。このように忍者は、常に「正心」第一に心がけ、それを堅持するため生涯不断の猛訓練を重ね、忍耐強く努力したのである。
(→右写真)
伊賀甲賀四十九流といわれる忍術の諸流を集大成した忍術書「万川集海(ばんせんしゅうかい)」
全22巻11冊におよぶ。著者は甲賀隠士藤林保武。
